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つみき通信

このブログは、つみきの会の代表や、会員の親御さん、セラピスト達からの便りをお届けするものです。ぜひ時々お立ち寄りください。

ABAと「わが家の桃太郎」の成長記 (8) 発達検査

発達検査を受けてきました。
病院に行く、というと、桃太郎にはよくない記憶がよみがえるらしくて、
鼻ぐりぐりは「しない」、注射は「しない」と言います。
でも、「痛いことはしないよ」「楽しいよ」と言って、連れ出します。

一年ぶりでもあり、親にとっては、前向きであったはずの検査ですが、
その日が近づくにつれ、心がしんどくなってきます。
自閉症児を持つ親なら、この独特な心もちが分かると思います。
ABAはDQをあげる、とよく見かけます。
子どもの成長を信じて、毎日、みんなで頑張ってきました。

発達検査は「つばき先生」が担当してくれます。
「こんにちは」と優しく声をかけてくれたのに、
桃太郎は「いかない」と言って、逃げだしそうになりました。
なんとかなだめて、やっと部屋に入れました。
ずっと以前なら、きっとこういう時は癇癪になっていたと思います。
言葉が通じるようになり、親は楽になっています。

終わって。
妻のみかんさんはぐったりと疲れていました。
「ふだんはできることもできなかったんだよ」

もちろん、DQがすべてじゃないし、
その日の気分で、誤差だってあるらしい。
ふだんできればいいんです。
桃太郎がどんな子でも、かわいい、かけがえのない我が子だし、
きっと成長できると信じている。

家で。
桃太郎と抱き合いました。
きっと、この子なりに気をつかって頑張ったのでしょう。
今度はもっと楽しいところに行こうね。

明日はセラピストの「すみれ先生」が来てくれます。
「ずいぶん、気持ちを救ってもらっているなあ」とみかんさんが言いました。
そして、私は?
こんな時に、思い出す言葉があったはずでした。

「志(こころざし)」

まだ、自分にありますか? ― あります。
大丈夫です。
これからも、しっかり家族を守っていきます。


どうか見守っていてください。
次回更新は、数か月?先になるかもしれません。
また、元気にお会いしましょう。

桃太郎、みかん(母)、渋柿(父)
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新潟定例会の報告

会員の皆様 

7月3日(日)に開催された新潟定例会についてご報告いたします。
開催にあたっては、密を避け、20人限定で個別指導のたびに教材の消毒等、新型コロナ感染予防対策を行いました。初参加の方も数名訪れ、静かな中に熱気のある会になりました。

【個別指導】7組(うち3組は初個別指導)
*食事スキル:(おはしの使い方)
*形容詞:(いちばん)大きい、(いちばん)小さい
*音声模倣:単語の抑揚
*アカデミックスキル:計算、数字目盛りの読み
*表情を読む:「どんな気持ち?」
*平仮名を書く(自分の名前の文字よりも、書きやすい文字を先に)
*マッチングから動作模倣

3歳から7歳まで、お子様たちの課題進行状況はさまざまなでしたが、代表にはお子様の状態を即座に汲み取っていただけて、個々に合わせた対応をしていただけました。強化子を上手く用いて子どもさんの気持ちを乗せることの大切さを感じました。

【代表講義】 就学期以降のABAへの取り組み方
小学校入学以降も、教え方の基本は変わりません。スモールステップ+プロンプト+強化で教えて、問題行動は、消去+DROで減らします。
代表のお嬢様の就学期以降についてご紹介いただきました。
小中学校の9年間は、必要なことは、学校の勉強も、身辺自立も、主に親が教えてきた、といってよいくらいだったそうです。
学校以外では、親として、入浴スキルなどの身辺自立、交通安全を教え、また、ピアノを教えたとのお話でした。
講演の途中では、ピアノ演奏の動画を見せていただき、みんなで聞き入りました。
交通安全に関しては、
車を避け、信号をよく見て止まること。
信号が青になっても、すぐに飛び出すのは危ない。車が突っ込んでくることがあるから。
青になっても車を確認したり、他の人が渡るのを待って渡るように教えることが大切、と話されました。

また、「支援学校・支援学級に通う場合、家で何を教えたらいいのか」ということについてもお話があり、参考になりました。

参加された皆様、セラピストの皆様、遠方よりお越しの藤坂代表、本当にありがとうございました。次回開催は2022年10月9日(日)です。皆様のご参加をお待ちしております。

新潟定例会スタッフ:藤中

ABAと「わが家の桃太郎」の成長記 (7) 幸せな気持ちで育って欲しい

私、渋柿は子どもが出来てから、お酒を断ちました。
何かあれば24時間いつでも、家族のために闘わないといけないからです。
もう若くない父親で、体力もないので、酔っている場合ではないのです(涙)。
なので、身体も鍛えないといけないのですが、最近「ランニング」が出来ていません。
時間も、気持ちも、余裕がなくなりました。
いざ走り出せば気持ちよくなることは分かっています。
ランナーズハイは、
運動が、脳内(側坐核)のドパミン信号伝達に影響して起こるようです1)2)。

桃太郎は活発な男子で、なかなかじっと座っていられません。
まだ4歳ですが、どうも自閉症にADHD傾向も伴っているようです。
文献をみると、ADHDはドパミン神経系の機能異常が主体、
自閉症はセロトニン神経系の異常が基盤にある、という記載があります3)。

セロトニンは、「しあわせホルモン」とよばれます。
セロトニンは、ノルアドレナリンやドパミンを制御し、精神を安定させる働きがあります4)。
セロトニンが不足しないように、その材料(トリプトファン)を多く食事から摂ることが勧められます。
ただ、自閉症の原因がセロトニン欠乏というわけではありません。
セロトニン神経伝達(トランスポーター)の問題ということが分かってきました5)。
どうやら、「数が少ない(細胞膜での発現の減少)」ということのようですから6)、
可能なら、「少ないトランスポーターに頑張ってもらう」、のがいいかもしれません。
そこで療育なのですが、
ABAで「褒める」と、脳内でのセロトニンやドパミンの刺激に繋がることが分かっていますから7)、
褒めることがいいのでしょうし、
やはり「できないことができるようになる」快感は、ランナーズハイのように、ドパミン刺激に繋がるでしょう。
子どもを幸せな気持ちにさせることが大事ですね。

「あなたは桃太郎にきびしすぎる」と、よく妻のみかんさんに厳しいことを言われます。
これでも、ずいぶん優しくなったんです。
ABAを学び、また、ペアレントトレーニングを学んだからです。
自閉症児の子育ては困難の連続であり、親のストレスや不安は相当なものです。
いくら療育やアドバイスを受けても、自分の子どもが、将来普通に就職できるのか、
普通に家庭を持つことができるのか、
そういった、「普通に自立できないかもしれない不安」から逃れることはできません。
親のことも、誰かにしっかり見てもらえる、伴走していただけることが必要です。
セラピストの「かえで先生」と「すみれ先生」のことはとても信頼していて、
定期的に訪問いただけることで、ずいぶん、親の心理的ストレス軽減にもなっています。


「おつきさま、こんばんは」
となりの部屋から、桃太郎のかわいい声が聞こえました。
4歳7か月、ABAをはじめて1年半、
絵本のひらがなが、読めるようになったんですよ。
見に行くと、白のクレヨンで、床に大きなお月さまが描かれていました。
ここに書いちゃだめだよと言いたくなるのですが、
桃太郎は何も悪くないんです。
まずしっかりほめてから、正しいことを教えます。

悪い子でも、できない子でもありません。
私たち親は、この子を支え、また、愛しいこの子に支えられています。
私たち親は、この子の命に生かされています。
だから、育って欲しい、
子どもがずっと幸せな気持ちで生きていくための療育を、と思っています。

1)多幸感(Wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%9A%E5%B9%B8%E6%84%9F
2)側坐核のドーパミン経路
https://hatchobori.jp/wp-content/themes/genova_tpl/asset/appet83.jpg
3)脳と発達2008
https://www.jstage.jst.go.jp/article/ojjscn1969/40/6/40_6_451/_pdf/-char/ja
4)セロトニン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-074.html
5)画像から自閉症の原因をさぐる。
https://kodomolove.org/cooperation/%E7%94%BB%E5%83%8F%E3%81%8B%E3%82%89%E8%87%AA%E9%96%89%E7%97%87%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%82%8B%EF%BC%9A%E3%82%BB%E3%83%AD%E3%83%88%E3%83%8B%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%88%E3%83%A9.html
6)自閉症の原因を探る:セロトニン・トランスポーター
https://kodomolove.org/wp/wp-content/uploads/2014/05/260509_Fukui_Iwata.pdf
7)褒め上手になると脳が活性化する
https://www.active-brain-club.com/ecscripts/reqapp.dll?APPNAME=forward&PRGNAME=ab_brain_detail&ARGUMENTS=-A3,-A202102,-A20210225143308627,-A

ABAと「わが家の桃太郎」の成長記 (6) 他者視点

桃太郎は、つみきプログラム中級課題の「見せて」を頑張っています。
絵カードを見ている桃太郎に「見せて」といい、
こちらに裏側の白紙を向けたりしないで、
反対返して、きちんと絵の方を見せてくれたら強化する、
「他者視点」の課題です。
桃太郎は他者視点が苦手でした。
3歳、初級課題の頃は「前ならえ」の鏡面模倣で、両腕を後ろの背中方向に伸ばしてしまい、
なかなかできずに、癇癪を起こしました。
もっと前、2歳頃は、バイバイと逆さバイバイの中間くらいで手を振る子どもでした。
今ふりかえると、ABAで一歩一歩習得してきたことを実感します。

もしABAをやっていなくても、そのうちできるようになったのかもしれないとは、よく言われることですけれども、
ずっと昨日までできなかったことが、ABAでやったその日からできるようになるのだから、
親としてはそれでいいですよね。

自閉症は脳機能障害と言われますが、
確定的に分かっていることは多くないようです。
一つの原因が自閉症者全員に共通するわけではないのでしょう。
そういう人もいるし、そうでない人もいる、といった感じ。
むしろ脳機能障害というのは、自閉症が「親の育て方のせいではない」という文脈でよく言われます。

他者視点がない、というのは、ミラーニューロンの障害でしょうか。
ミラーニューロン1)2)は、他者の行動を見た時、自分が同じ行動をしている時と同じ活動する神経細胞のことで、
サルで発見されましたが、
ヒトでは、サルのように脳に電極を刺して、個々の細胞の活動を調べたりできませんので
(サルに痛みはないそうです3))
たとえば脳血流をfMRIで見るような方法で、ミラーニューロンの部位が推定されます。
ヒトでは、特定の神経細胞というより、
前頭前野から下頭頂小葉、側頭葉の一部あたりの、全体としての神経細胞群が考えられています。
これが脳のどのあたりか初学者が調べようとするとたいてい混乱します。
「ブロードマンの脳地図」がいいと思います。
見るかぎり一番分かりやすかったのは、東京大学公開講座の13ページの図です4)。
赤線で囲まれた45-44野(左脳ではブローカ野、「話す」ほうの言語野)が、サルのミラーニューロン部位F5に相当します。
また、40-39野が下頭頂小葉です。

アインシュタインは自閉症だったのではないかとよく言われますが、アインシュタインの脳は、下頭頂小葉が大きかったそうです5)。
ただ、大きいということが、機能が高いということに即繋がるかどうかは分かりませんし、
これが自閉症者の特徴ということでもないはずです。

たとえば、ABA前後でお子さんの脳血流をfMRIで見るような研究が、もしできたとしたら、
ABAの効果をより客観的に示すことができるかもしれません。
ただ、どうでしょう?
1人1人のお子さんの状態、
たとえば、他者視点がどのような状態なのか、課題による得手・不得手、行動特性、そういった発達具合のすべてを、より細かく丁寧に見ていくことの方が、大事な気もしています。

山本つむぎさんの本を読みました6)。
進路はどうしたらよいか、療育は?幼稚園は?どこに入れたらいいのか、
伸びるのか、つぶれるのか、
自閉症児を持つ親なら誰でも、痛いほどよく分かる心の動きが書かれています。
その子に合った進路といっても、選択肢が多いわけではないので、
けっきょく、進路を決めたら、子どもをよく理解してもらうしかありません。
自閉症児といっても、そういう人もいるし、そうでない人もいる、といった感じで、
一人一人がずいぶん違います。
子どものことをよく知ってもらうには、親がその子をよく理解するしかなくて、
そのために、個別の検査や研究ができるなら、より意味があるかなと思います。

2022年5月 渋柿 記

1)Wikipedia「ミラーニューロン」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%AD%E3%83%B3
2)国立特別支援教育総合研究所
http://www.nise.go.jp/cms/6,4932,13,257.html
3)「ニホンザル」
  https://nihonzaru.jp/qanda_ans1_2.html
4)東京大学公開講座
https://todai.tv/contents-list/2006-2009FY/2006autumn/11/lecture.pdf
5)アインシュタインの脳は何が違った?
  https://www.blog.crn.or.jp/report/04/53.html
6)発達障害はきみを彩る大切なものだと知った。日本橋出版。

ABAと「わが家の桃太郎」の成長記 (5) 指示に従う

わが家はよくマクドナルドを利用します。
私、渋柿は「ビッグマック派」。
妻のみかんさんは、氷入りのゼロコーラを楽しみます。
桃太郎はナゲットが大好物ですが、外側の部分だけをぐるりと齧って、
あとは全部、はだかの肉にして残してしまいます。
私は食べ残しが許せないタイプの人間でしたが、
「お肉も少し食べようね」、と、
そのくらいのことは、穏やかに許せるように変わってきました。


親の切実な願いとしては、桃太郎には、素直に指示に従う子になって欲しい。
なんでも言うことを聞く「いい子」を作りたいのではありません。
「危ないから道路に飛び出してはいけません」とか、
そういうレベルの指示に従うことを分かって欲しいのです。

桃太郎が3歳半頃、ABAをはじめて半年くらいの頃までは、
離席や癇癪が多かったです。
わが子に大声で泣かれるのは、母親のみかんさんにはずいぶん辛かったようです。
ほんの少しのきっかけで、1日に何度も癇癪を起こす、
そんな嵐の毎日では桃太郎もつらいでしょう。
泣かないで。
その頃のセラピーは毎日、祈るような気持ちでした。

課題を一時おやすみして、
「座ってくれたら大げさに褒めて、大好きなおもちゃで強化」だけを繰り返したこともありました。
桃太郎の心を青空にしてあげたい、親ですから、そう思いました。
ただ、癇癪のたびに離席の要求を受け入れていては、成長は期待できないとも思いました。
3日目にやっと「つみきをお椀に入れる」課題から再開できるようになりました。


3か月後。
セラピーが順調になり、ふだんの生活での癇癪も減ってきました。
「あんなに椅子に座るの苦手だったのにね。桃ちゃんすごいね」と、SVのかえで先生。
「早くまた代表に見てもらいたいですね」と、セラピストのすみれ先生。
かえで先生とすみれ先生にかかわっていただき、親の気持ちも支えていただきました。

それでもまだ、ABAの課題に飽きたり、嫌な課題だったりして、
すみれ先生に反抗することもあります。
そんなときは、ひとつ前のできる課題にもどったり、
手慣れた身体強化ひとつで、桃太郎の表情がガラリと明るく変わることが多々あります。
今ではもう、親を両手で強くつねったり、噛みついたりすることはありません。


The sky is the limit for him. 
彼の能力は無限大。
大谷翔平選手を評した言葉です。
日本語的な発想とは違って、面白い表現だなと感じました。
桃太郎が生まれたばかりの頃、
この子は大きく育てたいなと思っていました。
そのことを、忘れそうになっていたかもしれません。
親ですから、
私たちはこの子が大きく伸びる可能性をずっと信じていたいと思います。

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プロフィール

つみき通信

Author:つみき通信
NPO法人つみきの会は自閉症、広汎性発達障害という障害をもった子どもたちに、ABA早期家庭集中療育(ABAホームセラピー)を施す親とそれを支援する療育関係者の集まりです。
ABA療育に関心のある方なら、どなたでも参加頂けます。

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