つみき通信

このブログは、つみきの会の各支部リーダーを始め、理事、事務局スタッフなど、つみきの会の活動を支えるスタッフたちからのお便りをお届けするものです。ぜひ、時々お立ち寄りください。

1月11日繭合同定例会の報告

会員の皆様
埼玉定例会スタッフの鈴木です。

1月11日(日)繭合同第一回埼玉定例会が行われましたので報告させていただきます。

その前に、遠方よりお越しくださった藤坂代表、ご協力いただいたスタッフと託児ボランティアさん、
参加された皆様、ありがとうございました。

今回の参加は、会員のご家族26組含め約40名となりました。
個別指導は3組でした。

1組目は上下右左、前、後ろなどの方向が課題でした。

楽しくセラピーする、というところが印象的でした。

2組目は「なに色?」と聞いたらお子さんが「あお」「き(黄色)」と答える課題と音声模倣でした。

3組目は音声模倣でした。「まま」「めめ」「なな」など2音はとても上手に真似できていましたが、

「ね・の」は「ね・も」のようになってしまう、など苦手は発音もあるようでした。

表出的命名で発音が不明瞭でも強化いていると、だんだん言えるようになる、ということでした。



集団プログラム

初め順に並んで縄跳びをし飛び終わったらタンバリンにタッチするという

ことを1人づつ行いました。

次に共同注視を行いました。
ボランティアに手伝っていただき、ボランティアに果物の絵を持ってもらい

代表が指を差したら子ども達が指差した絵をタッチするというようなことを

行いました。

子ども達は楽しそうにこなしておりました。



講義は「DTTとPRT]というテーマでした。

PRTはDTTのように治療の効果をきちんと出していないが、

あくまでもDTTをベースとしたうえで、PRTの良い点は取り入れることがベストではないかとのことでした。

DTTをベースにする大きな理由は、試行数が多いので、学習量が確実に多いからということでした。



PRTの良い点としては、子どものモチベーションを高めるための工夫をしている点でした。

「PRTによるモチベーションを高めるなめのポイント」として取り入れることが出来そうなものとしては、

・一定の枠を決めたなかで、可能な限り子どもに選択を認める。

 例えば、宿題をさせるときに、順番や、やる部屋、使う鉛筆を選ばせるなど。

・新しい課題を教えるときに、習得済みの得意な課題も挟み込む。

・課題、教材、強化子に変化を持たせ、子どもを飽きさせない。

・課題に関係する強化子を用いる。

 例えば、箱を開けることを教えるなら、箱の中に好きなものを入れておく、など。

・正解でなくても、頑張った時は強化する。

 これは、特に音声模倣のセラピーで有効ということでした。



また「(代表が)考えてみたら自分でもやっていたPRT」として、いくつか挙げられていました。

・音声模倣のときに出来る音をいくつか言わせて、時々、新しい音を試す。

・難しい課題を教えるときは、まず復習課題で成功させてから、いい状態で。

・教材はカードより3Dフィギュアを使う。

・教材にお金をかける。いいものを使う。なければ手作りする。(例えば、ペンやクレヨンなら書き味の良いものを買う)

・強化子にお金をかける。

・トークンなど、マグネットを強化子にするとき、途中で色を変える。

・音声模倣のとき、下手でも強化。

など。



以上が報告となります。



次回の定例会は4月4日を予定しております。

約1ヶ月前に募集をかけたいと思うので宜しくお願いいたします。





埼玉支部スタッフ 鈴木
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PRTへの反論

年末年始にケーゲル夫妻の「The PRT Pocket Guide」(2012)を読み始めたのですが、第一章のDTTに関する記述があまりにも一方的で、頭に来ています。
この本はPRTのコンパクトな紹介本として、いずれ日本でも出版されるでしょうから、あらかじめ反論しておきたいと思います。

ABAについてよくご存じない方のために予め説明しておきますと、自閉症早期療育法としてのABAにもいくつかの流派があります。
DTT(ディスクリート・トライアル・トレーニング)は1960年代にロバース博士らが開発した方法で、いわば自閉症に対するABAセラピーの元祖です。古典的ABAといってもいいでしょう。セラピスト主導で、セラピールームでいすにすわらせるなどしてセラピストと向かい合い、短い試行を断続的に反復して集中的なトレーニングを行う、といった特徴があります。

ロバース博士はこの方法で、2~3才の自閉症児19人に、平均週40時間の1対1のセラピーを2年以上に渡って施し(ただしセラピー開始から半年~1年経って順調に伸びた子は健常児の集団にシャドー付きで入れ、その分、自宅でのセラピーは減らしました)、その結果、19人中9人(47%)が知的に正常になり、かつ小学校普通学級に付き添いなしで入学を認められた、という画期的な成果を1987年に発表しました。

それに対してPRT(ピボタル・レスポンス・ティーチング)はもともとロバース博士の弟子だったロバート・ケーゲル博士が、途中でロバース博士とたもとを分かち、1970年代後半から開発を進めたもので、DTTの欠点の克服を目指しています。現代的ABAの代表格と言っていいでしょう。

PRTを始め、現代的ABAに立つ人たちは、伝統的なロバースのDTTのことを何かにつけて悪口を言うので(ロバースではことばが伸びない、日常生活に般化しない、自発しないなど)、以前から何かの機会に反論したいと思っていました。

私はロバース博士の直接的な弟子ではありませんが、ロバース博士のテキスト「ミーブック」を精読し、付属ビデオを何度も見て、なるべくその通りのセラピーを心がけてきました。ですから基本的にDTT派と言っていいでしょう。

ただし、初期のロバース博士は、セラピー中の子どもの妨害行動(癇癪、攻撃など)に対して、「ノー」と大きい声で叱り、太ももをぴしゃりとたたく、という罰を使っていました。しかし後にそれをやめて、妨害行動には主に消去で対処するようにした、と付属ビデオの解説に書いてありました。そこで私もつみきの会の指導に当たってはそのようにアドバイスしています。罰を使うこともありますが、ほとんどはタイムアウトなどの消極的罰(ほうびを取り上げる罰)で、うちのセラピストが叱ったりたたいたりすることは決してありません。

週40時間というのは、親御さんが一人で担うには長すぎる時間で、ほとんどの場合質が保てないし、途中でバーンアウトしてしまうので、各自の能力や事情に合わせて一日1~3時間程度のセラピーをお勧めするようにしています。

昨年、ロサンジェルスに行ってDTT派に属する他エージェンシーのセラピーを見学してきました。そこは実際に週30~40時間を複数のセラピストがチームを組んで行っていたのですが、一回の試行数がとても少なく(せいぜい10数試行)、休憩の方が長いくらいだったので、子どももリラックスしているようでした。われわれはもっと少ない時間数でやっているので、もう少し一回の試行数が多いですが、それでも5分に一度は席を立たせるようにアドバイスしています。

このように現代のDTT派はもう強い罰を使っているわけではありませんし、それぞれその後のABAの研究成果を取り入れて、改良を加えています。

前置きが長くなりました。ケーゲル夫妻がそのDTTについて何と言っているかというと、まず繰り返し出てくるのは、「この方法は効く。しかし進みが遅い」という表現です。ロバースのDTTはどこよりも優れたエビデンスを出しているので、さすがにそれは否定できないのでしょう。しかし週40時間もかけている割に、課題の進み方が遅い、しかも大変な労力がかかる、というのです。

一章の冒頭に出てくる仮想例では、4才の男の子がDTT派のエージェンシーによって一日6時間のセラピーを1年余り受けた結果、6時間の大半を、30分に一度の短い休憩だけでいすにすわりつづけられるようになり、課題としては動作模倣ができるようになり、約30の単語が言えるようになった、しかし進みがあまりに遅いので、ご両親がケーゲル博士の研究所の門をたたいた、ということになっています。

30分に一度のショートブレイクだけで6時間すわらせ続ける?そんなエージェンシーが実在するでしょうか。それに1年間のセラピーでやっと動作模倣と単語30? 
確かに重い子の中には最後まで言葉が出ない子もいます。でもほとんどの場合、1日1,2時間のセラピーでも、最初の数か月で動作模倣と音声指示くらいはできるようになるものです。速い子では数か月のうちに言葉もどんどん出てきます。元々言葉のある子の場合は、どんどん先に課題を進めて、二、三語文や会話に持って行くことができます。半年から一年で、健常の子とほとんど見分けがつかなくなる子だっているのです。

「DDTが遅い?」私はそうは思いません。むしろ逆です。他の現代派のABAセラピストが下手をしたら子どもと遊ぶだけで数か月を費やすのに対して、DTTではその間にどんどん課題を進め、できることを増やしていきます。「DTTは課題の進みが速い」というのが私の印象です。

ケーゲル夫妻は、DTTは子どもが嫌がる、嫌がって逃げたり、攻撃行動に出たりする、とも言っています。

特に頭に来た記述が28ページにあるのですが、そこではケーゲル博士らがPRTを開発して、子どものモチベーションを高めることができるようになった結果、「もう私たちは泣き叫んで柱にしがみつく子どもを、セラピールームに引きずっていく必要がなくなった。子どもたちはセラピストが家に来たのを見ても隠れなくなった」と書かれています。

泣き叫んで柱にしがみつく子どもを引きずっていく?セラピストを見たら隠れる?どこの誰のセラピーのことを言っているんでしょう。

確かにつみきの会(NOTIA)でも、最初のうち、セラピストやセラピーを嫌がる子はいます。しかし大抵はすぐにセラピストが好きになってくれます。だってやさしいし、たくさんほめてごほうびをくれますから。

私が自分の娘をDTTで教えた時も、娘が泣いたのは最初の数日だけでした。あとはむしろ毎日喜んでセラピールームに入っていきました。だってセラピー中はヒントがもらえて、正解したらやさしい声でほめてもらえるし、しばらく頑張ったらいすから離れて、パパのおなかの上に寝転ぶことができるんですから。

それに娘に教えているとき、娘が集中的なDTTの結果、何か新しいことを学ぶことができたときに、心の中に喜びや誇りのようなものを感じていることを、何度も見て取ることができました。いまでも、ピアノで難しいフレーズが弾けるようになると、彼女はとてもうれしそうな笑顔を見せますが、それと同じ笑顔を、DTTセラピーの中で何度も見ることができました。ですから私には「DTTは子どもが嫌がる」という評価が納得できないのです。

ケーゲル夫妻は、PRTはDTTに比べてずっと進度が速く、子どもも楽しい、と言います。

DTTが自閉症児が社会に適応していくうえで必要な個々の行動を逐一教えていく道を選択したために、膨大な時間と労力がかかるのに対して、PRTは「これを教えれば、他の何千という行動が自然と改善する」という「重点領域(pivotal area) 」をいくつか見つけたので、それを教えれば、ずっと少ない時間と労力で、ロバースと同じ結果を達成できる、というのです。

そこで最大の疑問ですが、それではなぜケーゲル博士は、PRTによってロバース博士の1987年の研究に匹敵する成果を発表しないのでしょうか。例えば週10時間程度の短時間のセラピーで、ロバースと同じように19人中9人の子どもが知的に正常になり、小学校普通学級に行けるようになった、という研究を、です。もうPRTが開発されて20年以上が経とうとしているのに。

ケーゲル夫妻は、PRTはたくさんのエビデンスが出ている、と言います。しかしこの本に紹介されている限りでは、ロバースの研究に匹敵するような、介入群と非介入群を分けて行う大規模かつ長期的な比較研究はなされていないようです。

ただ34ページに二つの大規模研究が紹介されていて、一つは数百人の子どもたちにPRTが施され、子どもたちは適応行動尺度で大きな改善を示した、とのこと。もう一つはカナダのノバスコシア州全域でおこなわれているプロジェクトで、子どもたちは標的行動に継続的かつ顕著な改善を示した、とのことです。もちろん結果が出ているのはいいことですが、ロバース博士の研究のような劇的な改善を思わせる表現はどこにもありません。

そこで生じる疑いは、PRTは、その主張とは裏腹に、結局DTTに匹敵する改善をもたらせないのではないか、というものです。PRTがその初期研究がそうであったように、DTTをベースとして、子どものモチベーションを高める工夫にとどまっているうちはよかったのですが、DTTを捨てて、遊びや生活の中の緩やかな介入に移行した時点で、DTTの大切な利点を失ってしまったのではないでしょうか。

藤坂(綾ちゃんパパ)







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NPO法人つみきの会は自閉症、広汎性発達障害という障害をもった子どもたちに、ABA早期家庭集中療育(ABAホームセラピー)を施す親とそれを支援する療育関係者の集まりです。
ABA療育に関心のある方なら、どなたでも参加頂けます。

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