つみき通信

このブログは、つみきの会の各支部リーダーを始め、理事、事務局スタッフなど、つみきの会の活動を支えるスタッフたちからのお便りをお届けするものです。ぜひ、時々お立ち寄りください。

卒業メッセージ(kaede) 3

ユキオが自閉症とわかってから、早期療育の効果が立証されているのだから、できる限り幼児期の療育に力を入れようと決心しました。不器用さがあったので、微細運動の訓練になりそうな、教材、言葉を引き出してくれそうな教材など、そろえられる限り、集めてみました。そんな時にもつみきのメーリングは役立ちました。教材や強化子譲ります、と言うメールにのっている教材や強化子で、役立ちそうなものは、探して入手しました。

しかし、やはり、問題は私が自分のABAのやり方に自信が持てないことでした。課題の組み立て方も、相談する相手がいませんでした。ABAのプロにユキオを見てもらいたい、と強く思うようになりました。

そんなある日、つみきのメーリングに藤坂さんのコンサルに空きがある、と書いてありました。自宅まで来ていただけるようでした。前にも書いたように、私たちは田舎に住んでいるために、発達相談に通うことが困難でした。費用の事もあるので、どうしようか、と悩んで、主人に相談したら、「代表本人が来てくれるならば、ありがたいね。専門職の人が出張して来てくれるのだから、安いくらいじゃないか。」と言ってくれました。定期的にコンサルをお願いすることにしました。

初回のコンサルはとても緊張しました。定例会などで、お会いしたことがありましたが、あまり個人的にお話ししたこともなく、藤坂さんを遠い存在のように感じていました。ホームページの写真をプリントして、ユキオにあらかじめ見せておきました。そのホームページの藤坂さんの写真は眼光鋭く、やはり近寄りがたい印象を受けました。会うなり、ユキオが怖がって泣くのではないか、と不安にもなりました。

当日、自宅に藤坂さんがいらっしゃいました。丁寧に生育歴を聞いてくださり、いよいよ藤坂さんのABAセラピーです。すると、不思議なことが起こりました。あまり、他人に興味を持たないユキオが藤坂さんに相手をしてもらおうと、しきりに話しかけたり、まとわりついたりしているのです。

大人からみると、ちょっと怖く見える藤坂さんですが、その優しさをユキオはすぐに理解したようでした。一つ一つの課題も藤坂さんに褒めてもらうと、本当に嬉しそうでした。時々交代して、私のセラピーを見ていただいて、改善すべき点を教えていただきました。

「ユキオ」と名前を呼びかけてから指示を出すこと、ユキオに対して「お願いします。」など、よけいなひとことを付け加えてしまうこと、1試行で終わらせず欲張って失敗させてしまうこと、など自分が気づかない欠点がいろいろわかりました。これらは、どんなに書物を読んでも、私にはなかなか気づけない事ばかりでした。

記録に残して復習しようと、写真やビデオを撮らせていただきました。藤坂さんが持っている強化子の中から、私が与えていなかったようなものをユキオが選んで遊んでいるのも、勉強になりました。少しの時間ですっかり、ユキオは藤坂さんに気を許したようでした。

前にも書きましたが、ユキオは食事の時も椅子に座り、保育園での活動やSTでも一応椅子に座っていたため、私は椅子に座らせる課題をきちんと教えていませんでした。藤坂さんの椅子に座るようにと言う指示に、甘えたように「遊ぶ。」と言って、従いませんでした。きちんとコンプライアンスが確立していなかったのです。

藤坂さんは冷静に嫌がるユキオを椅子に座らせました。ユキオは泣き叫びました。今までで、一番大きなパニックでした。隣室でハルの面倒を見てくれていた母とハルは、ユキオの泣き叫ぶ声に驚いて、怯えていたようです。ユキオはしばらく泣き叫んでいましたが、最終的に観念したのか、力を抜いて座ったので、解放してもらいました。その後、強化子で遊んでいましたが、泣き疲れたのか遊びながら眠ってしまいました。

私は今まで、ユキオの言葉が増え、できることが増えたことに気を良くして、コンプライアンスという、一番大切なものをおろそかにしていたことを反省しました。また、ユキオの大パニックを目の当たりにして、この子はやはり自閉症だ、と痛感しました。そして、このようなパニックを前にしても、藤坂さんのように冷静に対応できるだろうか、と不安を感じました。

しかし、長い目でみれば、子供の体が小さいうちにコンプライアンスをきちんと確立しておかないと、癇癪に振り回されて、親子でどこにも出かけられなくなる、社会に受け入れてもらいづらくなる、と考えました。今まで、ユキオに主導権をとられていたことを初めて自覚しました。その日から私のABAセラピーは少し変化があったと思います。

初回のコンサルで大パニックをおこしたので、ユキオは藤坂さんを嫌いになっているのではないかと心配しました。しかし、2回目のコンサル前に、藤坂さんの写真を見せて予告したところ、とても嬉しそうにしました。再会すると、早く勉強を一緒にしようと言うように、藤坂さんにまとわりついていました。定例会でも感じましたが、藤坂さんには子供を引き付ける何かがあるのかもしれません。

何回かお会いしているうちに、藤坂さんは別に怖い人ではなく、とても真面目で一生懸命な方だとわかりました。時には厳しいこともおっしゃいますが、そこにいじわるな感情は全く感じません。正しいと思っていることを率直におっしゃっているのだと思います。

私の些細な質問にも真剣に長考して、答えてくださいます。適当にその場を取り繕うと言うような、いい加減なことをしない方です。人によっては、藤坂さんの鋭い眼光と鋭い発言を怖い、と感じるかもしれませんが、私たち家族は甘党の優しい先生として、皆で慕っていました。ハルも藤坂先生の来る日を楽しみにしていたようです。ときどき、ソーシャルスキルトレーニングで人数が必要な時にハルにてつだってもらうと、とても嬉しそうでした。

いい加減な性格で、センスのない私には、上手なABAセラピーは出来ませんでした。しかし、下手でも継続すれば効果があると実感していました。定期的に藤坂さんに課題について相談できたことは幸いでした。

自分がこだわっていた課題がまだユキオには早かったり、スモールステップが足りなかったり、プロンプトが不十分だったりすることがよくありました。つみきブックと後に入手したつみきプログラム(つみきブックよりもさらに詳細に課題の進め方が書いてある本です。つみきブックと両方使って課題を組み立てていました)にきちんと書いてあるのに、読み飛ばしていることも、よくありました。

自分一人で行き詰っていた課題が、藤坂さんに相談するとほんの数分で解決し、やはりコンサルを受けてよかった、と毎回思いました。ついついABAをさぼっていても、定期的に藤坂さんと会うとなると、課題を見直したり、相談することをまとめたり、試験前の学生のように気持ちが引き締まりました。これは藤坂さんのコンサルを受けられたり、定例会に出席されたりする方、皆さんに共通するところではないかと思います。
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ABA療育に関心のある方なら、どなたでも参加頂けます。

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